その他の関連法規のワンポイント解説
【健康増進法】
国民保健の向上を目的にした法律です。健康食品に関しては栄養表示基準や虚偽・誇大な表示の禁止などを規制しています。
【食品衛生法】
食品の製造、成分規格、加工、調理基準さらに表示事項までを規定している法律です。
健康食品は食品ですから、この法律の対象となります。
【景品表示法】
「景品類の制限及び禁止」「不当な表示の禁止」を規定します。虚偽や誇大広告の禁止、表示の合理的根拠の提示などが求められます。
【JAS法】
食品の品質に関する表示について基準を定めている法律です。健康食品は加工食品品質表示基準などの対象となります。
薬事法解説とコンプライアンス
「○○に効く」「△△が治った」などの効能・効果の表現を規制するのが「薬事法」
- ある商品を使って、自分や家族、知人の病気が治った、効果があったことをきっかけとしてビジネス活動をスタートするケースは少なくないと思います。「同じ病気や症状で悩んでいる人を救ってあげたい」という一心で活動することは心情的に理解できなくはありません。
- しかし、例えそれが「事実であっても言ってはいけない」というのが「薬事法」です。
薬事法には直接的な効能・効果だけでなく、健康・美容関連製品を販売する上でやってはいけない説明について様々な規制があります。
薬事法における広告とは
薬事法における広告とは、テレビCMや雑誌、新聞などに掲載するものだけではなく、下記の要件を満たす場合を「広告」と規定しています。
- 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確である。
- 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
- 一般人が認知できる状態であること。
そして、具体的に以下の形状・形態のものを「広告」と規定しています。
- その物の、容器、包装、添付文書等の表示物。
- その物のチラシ、パンフレット等。
- テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット等によるその物の広告。
- その物と関連した小冊子や書籍等を一緒に取り扱う(同一売り場等)。
- 新聞、雑誌等の記事の切り抜き、書籍、学術論文等の抜粋。
- 代理店、販売店に教育用として配布される商品説明(関連)資料。
- 使用経験者の感謝文、体験談など。
- 店内及び車内等における吊るし広告。
- 店頭、訪問先、説明会、相談会、キャッチセールス等においてスライド、ビデオ等または口頭で行われる演術等。
つまり、パンフレットやホームぺージ、さらに口頭での説明など、商品を販売、説明するためのほぼ全ての行為が「広告」に該当し、それで効能効果を説明すれば薬事法違反になることになります。
薬事法違反になる説明とは
具体的にどのような行為が薬事法違反となるのかは次の通りです。
(参考:静岡県作成「健康食品製造、広告をする方が薬事法違反とならないためのチェックシート」)
病名を挙げて治療・予防効果を説明
高血圧が治った、ガンが治った、便秘が解消、生活習慣病が気になる方になど、治療効果を示したり、治癒や疾患を有する者、予防を期待する者、好ましくない身体状態にある者を対象とする旨記載している。
からだの機能改善効果の説明
免疫力を高める、血をさらさらにする、腸の環境を整える、細胞を活性化する、体内でのホルモンのバランスを調整する等からだの構造や機能に作用がある表現をしている。
からだの特定部分への改善や効果を説明
血管を強くする、目の栄養補給に、肌にはりがでる、膝の痛みに等特定部位の改善、増強、栄養補給等ができる等の表現をしている。
専門家の解説や新聞記事の引用
医師・学者等の談話、推薦、経験談、新聞や雑誌の記事の引用をしている。
伝承薬的な効果の説明
古書の薬効に関する記載の引用や民間薬として使われてきた起源や由来等を記載している。
含有成分の効果の説明
○○は血栓を溶かすといわれている、目に対する効果がある△△を配合等含有する成分が作用を示す旨を記載している。
使用期間による効果の説明・暗示
1ヶ月飲み続ければ違いが分かります、2週間続けてください、健康食品ですので即効性はありません等効果、効き目を表現、または暗示する記載をしている。
診断・体調チェックに基づく推奨
身体の症状等をチェックさせ、自覚症状により健康食品を薦めたり、選択させる表現をしている。
海外での医薬品実績による効果説明
生薬、民間薬、薬草、漢方薬の文字、薬効が認められる健康茶であるため薬効は表示できない、海外では薬として使用されている等、「薬」の文字を記載している。
■自分の本当の体験ならば構わない?事実でも効果を説明すれば「薬事法違反」です!
- 最近のテレビコマーシャルなどで、健康食品や化粧品の体験を語るとき「個人の感想です。効果には個人差があります」などの表示があるものをよく見ます。「効果ではなく個人の感想だからかまわない」というメーカーやCM制作者の解釈と思われますが、この表示と解釈には何の根拠もありません。
- 同様にセミナー等で自身の体験を話すケースがあり、「自分の体験を話しているから事実でありウソではないのだから問題ない」と考える人もいるようです。しかし、これも間違いです。
- 7ページの「薬事法が規定する『広告』とは」の⑦、⑨にあるように、薬事法では、例え体験に基づく治療効果が事実であっても「広告」とみなされ、販売目的でそれを告げることは認められません。
■本当のことを伝えたいだけなのになぜ法律で規制するの?
- 薬事法が健康食品などの効能効果説明を規制する理由の一つには、消費者がその説明を信じることで適切な治療機会を失うことを防ぐためです。例えばガンの治療を受けている患者が「この健康食品でガンが治った」と言う説明を信じて医療による治療をやめてしまい、手遅れになる場合もあります。
- 結果論になりますので、治療を継続していても治らなかったかもしれませんが、治っていたかもしれません。素人の判断や治療により患者の生命が危険にさらされないよう、法律で規制しているのです。
■薬事法違反に問われるとどうなる?
- 「無承認無許可医薬品」と認定され、違法行為が明らかな場合、刑事罰の対象となります。無承認無許可医薬品の製造、販売、貯蔵については、「3年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金(またはこれを併科する)」。
- 広告は「2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(またはこれを併科する)」。
- 決して軽い罰ではなく、逮捕されれば自分の名前も報道され社会的な制裁も受けることになります。自分の行動に該当すると思われるならば、法律に則った行動を心掛けましょう。
特商法解説とコンプライアンス
■「消費者被害を出さない」を徹底するのが「特定商取引法」
- 「特定商取引法」は消費者トラブルを生じやすい取引を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフなど消費者を守るルールを定めています。対象となる取引は「訪問販売」「通信販売」「電話勧誘販売」「連鎖販売取引」「特定継続的役務提供」「業務提供誘引販売取引」です。
- 「連鎖販売取引」は現在「ネットワークビジネス」の名称が一般的ですが、社会的には「マルチ商法」と認識されています。
- 決して軽い罰ではなく、逮捕されれば自分の名前も報道され社会的な制裁も受けることになります。自分の行動に該当すると思われるならば、法律に則った行動を心掛けましょう。
特商法における「連鎖販売取引」とは
特定商取引法は、「連鎖販売業」を(法第33条)で次のように規定しています。
- 物品の販売(または役務の提供)であって
- 再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をするものを
- 特定利益が得られると誘引し
- 特定負担を伴う取引(取引条件の変更を含む)をするもの
「特定利益」とは「会員になると定価の3割引で商品が買えます。それを定価で小売りして差益を得られます」「会員になる人を勧誘して入会させると紹介料がもらえます」などの販売形態で得られる利益です。
そして「取引を行うための条件」として、入会金、保証金、サンプル商品、商品、パンフレット購入などで、1円以上の負担をさせることを「特定負担」といいます。
つまり、「商品(サービスを含む)の販売・斡旋」「販売員の勧誘」「特定利益」「特定負担」の4つの要素がある事業形態が「連鎖販売取引」となります。
「連鎖販売取引」は法律のなかで使われている言葉ですが、一般的には「マルチ商法」と呼ばれ、行政でも同様に認識しています。
■「マルチ商法=悪質商法」は悪意に基づく誤解
- 「マルチ商法」はアメリカ発の事業形態「マルチ・レベル・マーケティングプラン(MLM)」が日本に紹介された際に作られた用語です。当初は用語自体にマイナスイメージはなかったのですが、その後悪質なマルチ商法業者による消費者被害が社会問題となったことから、マルチ商法の事業形態そのものが悪質商法と「誤認」されるようになり定着してしまいました。
- 「マルチ商法企業=悪質企業」という更なる誤認を防ぐため、事業者は「組織販売」や「システム販売」「コミュニケーションビジネス」などと自称するようになり、現在では「ネットワークビジネス」という呼称が一般的に使用されています。
- したがって、「連鎖販売取引」と「マルチ商法」は同じ事業形態を指し、「ネットワークビジネス」も同じものです。法の専門家や企業によっては会員教育において『連鎖販売取引(ネットワークビジネス)』のなかでも、悪質なものが『マルチ商法』」などという説明をしているケースがありますがこれは誤りです(誤認により特商法違反となる場合もあります)。
- 法律に従ってビジネスが運営され、会社も会員も正しくビジネス活動を行っているならば「マルチ商法」自体に何も問題はありません。
■ネットワークビジネスで「やらなければならないこと」「やってはならないこと」
ネットワークビジネスでビジネス活動をする際には必ず「やらなければならないこと」と「やってはならないこと」が法律により定められています。
やってはならないこと
■正直にありのままを伝えなければならない
特定商取引法ではビジネス活動を行う際にやってはならないこと(禁止行為)が定められています。
特定商取引法は、ビジネスの主宰会社(統括者)、代理店(勧誘者)が勧誘を行う際、取引の相手方(消費者)に契約を解除させないようにするために「ウソ」をつくことや「おどす」ことなどの不当な行為を禁止しています。具体的には次のようなことが該当します。
- 勧誘の際、または契約の締結後、その解除を妨げるために、商品の品質・性能など、特定利益、特定負担、契約解除の条件、そのほかの重要事項について事実を告げないこと、あるいは事実と違うことを告げること。
- 勧誘の際、または契約の締結後、その解除を妨げるために、相手方を脅して困惑させること。
- 勧誘目的を告げずに誘った消費者に対して、公衆の出入りする場所以外の場所で、契約の締結について勧誘を行うこと。
勧誘目的を言えばアポイントが取れないため、「久しぶりに食事でもしない?」などと誘って会員登録を持ちかけるケースは少なくないようです。しかしビジネスの勧誘のための話をする、ということを告げずに誘うことは法律違反となります。
「公衆の出入りする場所以外の場所」とは、「不特定多数の一般の人が自由に出入りしない場所」であり、会社の事務所やホテルの部屋、会議室、カラオケボックスなど、
勧誘を断ってその場所を離れたくてもなかなかできない場所です。
■記載事項を満たさない「広告」は禁止
ネットワークビジネスについて「広告」をする際は、以下の事項を表示することが義務づけられています。
- 商品(役務)の種類。
- 取引に伴う特定負担に関する事項。
- 特定利益について広告をする時にはその計算方法。
- 統括者などの氏名(名称)、住所、電話番号。
- 統括者などが法人で、電子情報処理組織を使用する方法によって広告をする場合には、当該統括者などの代表者または連鎖販売業に関する業務の責任者の氏名。
- 商品名。
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、統括者などの電子メールアドレス。
広告については「誇大広告の禁止」として、商品内容やビジネスについて「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」が禁止されています。
■電子メールの広告は実質的に禁止
- 電子メールによる広告を行う場合には、法律で定められた記載事項を守った上で、送信する相手から「受け取ってもかまわない」という承諾を得ていないと違法行為となります。「承諾」の証拠は「最後に広告メールを送ったとき」から3年間の保存義務があります。保存していないでメールを送れば、過去に承諾を得ていたとしても違法となります
- データ管理等は送信者の責任となりますが、承諾を得ないで送信した場合、主宰会社の統括者責任を問われる恐れもあります。データの保存や管理は煩雑な作業となります。個人で送信ごとに記載内容を守って記録を残し、その状況を管理することは現実的とは言えません。
電子メールによる広告、勧誘行為は実質的に禁止と考えられます。
■特商法違反に問われるとどうなる?
- 「やらなければならないこと」「やってはならないこと」を守らずに活動を続ければ法的な処罰を受けることになります。
- 処罰の対象は主に「統括者(ビジネスの主宰企業)」と「勧誘者(代理店)」が対象になりますが、ビジネスを始めたばかりの人でも処罰される可能性はあります。
- 例えば、「書面交付」を怠った場合、「6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(またはこれを併科する)」です。また「広告」において誤認を与えるような表現をした場合は「100万円以下の罰金」です。承諾を得ていない電子メール広告を送信した場合も「100万円以下の罰金」で、このメール広告に消費者を誤認させるような内容があった場合には「1年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金(またはこれを併科する)」となります。
- これ以外にも業務停止や指示など行政処分もあります。勧誘者の違反については主宰会社の統括者責任が問われますので、業務停止となる可能性があり、現在業務停止処分が非常に多くなっています。
コンプライアンスを徹底するには
法律を学び理解することはむずかしくても、守ることはむずかしくありません
ネットワークビジネスを行う上で、「特定商取引法」は必ず守らなければならない法律です。
健康・美容に関する商品を扱う場合には「薬事法」に留意して説明しなければなりません。
むずかしい法律の条文を読み、自分のビジネスに関係する部分を理解し、日々言動を確認しながらビジネスに取り組む真摯な姿勢が必要です。
しかし、この姿勢は理想であり現実的ではありません。
コンプライアンスを正しく理解するためには、相応の場と時間が必要だからです。ビジネス主宰会社のセミナー等に積極的に参加し、知識と認識を高めることを怠らないようにして下さい。
とはいえ法律の条文を理解していなくても、法律に則ったビジネス活動をしなければなりません。
その方法についてご説明します。
基本は人間付き合いの基本を守る
「薬事法」や「特定商取引法」の条文を理解していなくても、コンプライアンスを実行できる方法があります。それは大切と思う人との「人間付き合いの基本を守る」ということです。基本は、
- うそをいわない
- 隠し事をしない
- 無理をしない・させない
- 相手の気持ちを察する
- 相手の時間を思いやる
- 相手が嫌がることはしない
- 大げさに言わない
- きちんと説明する
いずれも自分が大切と思う相手と付き合う上で守るべきマナーやエチケットといえるものばかりです。
「法律を守る」というよりも道徳や倫理に照らし合わせた内容といえます。しかし、この中に薬事法や特商法が禁止している行為を防ぐ要素が含まれています。
相手に「迷惑」と思わせる行為が「被害」の入口です。
迷惑を感じる第一歩は、やはりマナーやエチケットに反する行為です。その行為には特商法に違反する行為が含まれているといえます。さらに商品に必要以上の効果を期待させる行為にも違法行為が含まれ、肉体的、経済的な被害を生みます。
ビジネスでも根拠なく利益を期待させることも違法行為であり、経済的被害も生みます。
販売やビジネス活動を行うにあたり、基本中の基本になるのがこの8項目です。この8項目を守っている限り、他の人や社会に迷惑を掛けることは少なくなり、法律に違反するリスクも低減するのです。